[レビュー]ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE(ネタバレ有りバージョン)

 前々から気になっていた、「ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE」をやっと見てきた。ネタバレしてますので、まだ観ていない方は下のネタバレ無しバージョンをお読みください。

[レビュー]ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE(ネタバレ無しバージョン)

 あらすじはこんな感じ。

 大学進学も就職も諦め、ギタリストとして成功を夢見る「酒留清彦」(演:大村 学)は、あるオーディション会場で笛を持った男に出会う。後日、言葉巧みに誘われた芸能人養成所ガリクソンプロで、笛の男「ジャガージュン市(演:要潤)」に再開する。
 そして、ジャガーが講師を勤めるふえ科に強引に入れさせられ、ヒップホップ忍者・ハマー(小木博明:おぎやはぎ)や、謎のアイドル志望の女の子・白川高菜(高橋真唯)とのふえ科生活が始まる。
 しかし、今までのふえ科が滞納してきた月謝など数千万を支払わないと、ふえ科を廃止するとガリクソンプロは通告してきた。困ったふえ科のメンバーは、美術館に展示されている珍笛を強奪しようと計画する。

 ネタバレ無しバージョンでも書きましたが、要潤がとにかくいい。「歯ぎしりと床ずれと私」(参考:第3巻収録の47笛)がリアルで見れると思いませんでした。ほぼアドリブ、ということらしいのですが、要潤は良い仕事をしました。

 たしかに冒頭のオーディション部分の「歯ぎしりと床ずれと私」で、会場中が大爆笑に包まれましたが、ここが映画のMAXです。「おお!要潤やるじゃん。この先どんなに面白くなるんだろう」と膨らんだ観客の期待に応えられぬまま、映画は徐々に盛り下がっていきます。

 原作ではストーリーがあってないようなものですが、映画では珍笛強奪計画のドタバタストーリーを映画の中心に据えてしまいました。 そしてそのシーンが長いんですよ。キム公(演:カルーセル麻紀)、グリとグラ(演:猿岩石・有吉とデンジャラス・安田)が映画の後半ちょくちょく出てきますが、ぶっちゃけいりません。だって原作にいないもの、そんな人達(キム公は映画とは全く異なる設定)。このお三方の演技はほんと良くて、有吉ってこういうキャラもできるのか、って感心したくらいですがやっぱり要らないですね。凄惨なリンチシーンとかほんと見たくなかった。

 この映画の一番気に入らなかったのが、余計なシーンの詰め込み。キム公、グリとグラのくだりはもちろん、ちょくちょく挿入される薩摩もこみち(演:酒井敏也)のシーンも全く要りません。あれ面白かった?

 つまり、「皇帝の長っ鼻」に関係するシーンをことごとくカットして、原作に沿ったショートストーリーをポンポンと繋げていくだけで十分だったのではないでしょうか。映画の半分くらいがそーいう"要らないキャラ"(しかもうすたテイストと全く乖離した)の出演で占められているために、肝心のメインキャラ達が中途半端な描き方になってしまいました。ハマーと高菜、ポギーの不完全燃焼っぷりには大抵の人がしょんぼ~りだったのではないでしょうか。

 ハマーはもっと人間としていかがなものか的なエピソードを入れられたはずで、それが無かったために、ラップ調で話すウザいヤツ止まりで終わってしまいました。小木って実は雰囲気がハマーってだけで、実はハマーらしくはなかったのではないかもしれないですね。ハマーは面白いことをやろうとしちゃいけないんですよ、作ってはいけない。素の行動が、「イラッ」とさせるようなキャラなんで、あくまでもクールに演じて欲しかったと思います。要潤を笑わせようとしている空気が見て取れてしまいました。

 高菜もひどかったですね。脚本・演出の問題だとは思うのですが、とにかくキャラが浅い。あれじゃタダの堪え性の無いキレやすい女じゃん。高菜の魅力は、根はすごく良い子なのに、追い込まれるとテンパってしまって、本人の意思とは裏腹にSキャラになってしまう二面性にあります。照れ隠しが別ベクトルに大きく振れてしまう、その振り幅がいいのですが、映画ではただキレているだけ。最後に歌を歌っていますが(高菜のキャラ的にあのセットでちゃんと歌えるわけがないんですが)、やるんだったら80年代のアイドルアイドルした振り付け・笑顔でやりきって欲しかったところです。

 ポギーも、あれ?ローリー寺西(すかんち)?って人が演じていましたが、それは置いといて。
 こちらもキャラの造詣がひどい。監督は、ポギーの壊れっぷりを表層的にしか捕らえていないのではないだろうか。肥やしの歌(田舎でジャスティス)なんて論外。ポギーはジャガーに出会って、パフォーマーとして開眼していくんですよ。その結果、自分をどのように表現したらいいのだろうか、ということを悩み抜いて、ヘンなメイクやコスチュームに走ってしまうわけです。表現者として壊れていくのであれば、ヘンな歌詞の歌を歌うなんて、甘っちょろい壊れ方はしないはず。普通に歌っているのに、下半身は網タイツだったとか、ロボポギーとか、そういう思い切りが欲しかったところ。

 影千代先輩もどう?
 板尾創路は全く問題無かったですね。普通に、影千代先輩でした。問題は演出・脚本。その前に、ハマーから影千代先輩のすごさは語られているわけです。そーいうイメージカットも入っているし。にもかかわらず、グリとグラにあっけなくやられてしまうのは一体どういうわけですか?前振りがなんも回収できていないじゃないですか。グリとグラの強さを表現したかった?そんな馬鹿な。
 最後の出陣シーン&警官の尋問もほんとグダグダ過ぎて、やっている演者さんが可哀想に見えました。

 

 ネタバレ無しバージョンでも書きましたが、うすた京介とマッコイ斎藤監督の笑いの質、というか、面白いと感じるツボが違っていたんだと思います。映画では、エロとグロに偏重し過ぎで、グリとグラの凄惨なリンチシーンもそうですが、おっぱいプリン(セクシーパフェ)も全く世界観にマッチしてなかったですね。むしろ邪魔。ダウンタウンのごっつええ感じに、バカ殿様が乱入したかのような違和感。

 キャラの持ち味を発揮することなく、ただのドタバタコメディに終始した一本と言えるでしょうね。

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