内需拡大を目的としたサマータイム導入は断固反対

 僕は、日本においてサマータイムは必要ない、というスタンスなので、馬鹿げたサマータイムがうやむやになってホッとしているのだが、大前研一氏は未練タラタラっぽい。

サマータイム導入を面倒くさがる日本 (日経BP)

わたしがサマータイムを推進する理由の一つに、日本には変化が乏しすぎることを挙げたい。サマータイムという制度を導入し従来の生活のサイクルを変えてみることも、いい刺激になると考える。先般、当連載で解説した道州制の導入も、日本に大きな変化をもたらすきっかけになることだ。日本はそういう大きな変化を経験したほうがよい。

 大前氏は、刺激になるという曖昧模糊とした理由だけで、サマータイムを導入しろと言っているのだ。なにをもって「大きな変化を経験したほうがよい」のだろうか?
 言うに事欠いてそれはないだろう。大前氏の珍妙な自説はまだまだ続く。

時計の針を調整するのが面倒だとか、間違えて飛行機に乗り遅れたなどを反対理由に挙げているくらいだから、要するに考えるのも面倒というのが反対派の論理だ。

 反対派がそんな子供じみた反論をしているわけではない。なぜ恣意的に、反対派がごねているだけみたいな印象操作をするんだろうか?
 反対派が訴えているのは、サマータイムの実効性が乏しいことだ。サマータイムは夏と冬の日照時間が大きく異なる地域で採用されている。実際にどれくらい日照時間に差があるのか示してみると、

冬至(2007年12月22日)
 東京: 10時間45分(6:47~16:32)
 ロンドン: 7時間50分(8:04~15:54)

夏至(2008年6月22日)
 東京: 14時間35分(4:26~19:01)
 ロンドン: 16時間38分(4:44~21:22)

 このように東京では夏冬と4時間程度しか日照時間が変わらないのに比べ、ロンドンでは9時間も異なる。夏になって、日の出が冬より2時間早くなって日の入が2時間遅くなる程度の東京と、夏になると朝は3時間以上早く日が昇り、夜に至っては冬よりも5時間も日が長いロンドンではライフスタイル自体に違いがあるのは当たり前。
 
 もちろん大前氏は分かっているのだ。日本でサマータイムの実効性が低いことを。分かっているからこそ、反対派がごねているだけとか日本に変化が必要というトンチンカンな自説で、論点をズラそうとしているだけなのである。

 要は、サマータイムを内需拡大の口実にしたいだけ。市民生活を無駄に混乱させることになっても、内需拡大のためには仕方がない、ということか。

 大前氏は効果があるのか無いのかとりあえずやってみたらいいではないか、と言うが、それこそ、それが目的なんだろう。とりあえずやってみる、といってもそこには大きな手間隙がかかる、ITの基幹システムのアップデートは言うに及ばず、印刷物は刷り直しを余儀なくされ、公共機関も調整で大わらわになるだろう。全国民の時間軸を修正するわけだから、その経済効果は計り知れない。影響を受けない国民はひとりとしていないと言ってもいい。

 それで、効果が無い、ということになれば、また元に戻す作業が発生する。これほどボロい商売も無いだろう。一粒で二度美味しいサマータイム詐欺だ。
 また大前氏は、

現在、サマータイムに賛成しているのは、外国で生活して実際にサマータイムを経験したことのある人が中心だろう。そういう人にとっては「サマータイム? あれっていいものだよね」と好印象を持っているはずだ。

 と言っている。僕は1年間英国で生活をし、サマータイムが始まる日も、解除される日も経験した。サマータイムが始まる日の深夜、午前1時になる瞬間に午前2時が表示される。そこで、あーサマータイムが始まったんだなぁと不思議な感覚だったのを覚えている。

 サマータイムが始まると言っても、その日起きるのが1時間早まるだけで、後は特に問題は無い。僕は英国におけるサマータイムの意義については知っているつもりだが、日本で同じようにした方がいいとは決して思わない。だって意味無いじゃん。

 そんなに社会的に有益ならば、大企業が自分達の会社だけで勝手サマータイムを実施すればいいだろう。結果的に時差通勤になって、社員も大喜びに違いない。しかし未だに大企業で、勝手サマータイムを導入したという話は聞かない。

 結局それが答えってことだ。どのようなお題目を唱えたところで、それが内需拡大を見越したものでしかない以上、サマータイムは断固反対だ。エコの皮を被ったテロじゃないか。

(追記:2008年7月4日)
 みずほフィナンシャルグループや・日本経団連事務局が、2007年8月に限定的にサマータイムを導入していたようですね。

 で、その結果が発表されていないようなんですが、結局どんなメリット・デメリットがあったのでしょうか? そこをはっきりとさせて欲しいところ。

 そもそもフレックスタイム制が徹底できればサマータイムなんて必要なくない?
 日が高い内に帰宅してプライベートタイムを充実させたいって人は今までより1時間早く出社して1時間早く退社する、生活リズムを変えたくない人は今まで通り出退社する。それでいいんじゃない。

    • やまき
    • 2008年 7月3日

    まったく賛成です。今回の大前氏の記事は「詭弁」の一言につきます。
    推進したいならしたいでいいのだけど、せめてそのメリットぐらい(できればコストも)「面倒くさがらずに」ちゃんと説明してほしいですよね。

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