「キサラギ」を見た - 秀作でした

 スカパーの東映チャンネルで「キサラギ」を見た。

映画「キサラギ」オフィシャルサイト
 
 ストーリーはこんな感じ。(Wikipediaから引用)

D級アイドル如月ミキのファン5人が、如月ミキの一周忌に集まった。
如月ミキは、一年前にマネージャーの留守番電話にメッセージを残し、自宅マンションに油を撒いて火をつけ、焼身自殺していた。彼女を悼むのが会合の趣旨だったが、彼女は自殺ではなく、殺されたと疑念が広がり、話の流れは一変する。
次々と明らかになる五人の男達の意外な正体や、明らかになる事実の中で、彼らが辿りつく如月の真実とは?

 映画は、登場人物5人の室内劇、カメラの位置は変わるものの最初から最後まで1部屋のみで物語は進む。

 それだけの要素で作品の上映時間「1時間48分」が持つのだろうか?たとえ5人の過去や、意外な事実が出てきたとしても、1時間48分は長過ぎはしないだろうか?
 そんな斜に構えた気持ちで見たのだが、全くの杞憂だった。1時間48分をアッという間に駆け抜けた。キサラギは秀作でした。

 同様のカテゴリーの映画として三谷幸喜の「12人の優しい日本人」がある。こちらは12人の陪審員が裁判情報を元にあーだこーだと推理を進め、事件の真相に迫っていくという内容。

 2作品の方向性は同じなんだけど、事件の真相に至るプロセスは異なる。「12人の~」が迷路の中を行きつ戻りつして事件の真相というゴールを目指していくのに対し、「キサラギ」はピースをはめ込んでジグソーパズルを完成させるといった具合。

 「12人の~」が陪審員の勘違いや思い込みで推理が脱線していくのに対し、「キサラギ」はそういった脱線は無い。一見、無意味とも思える情報や伏線がキレイに回収されながら、真相に辿り着く。

 中盤までに出揃った事実だけで真相に繋がっていくのだが、ただ事実を並べて真相に辿り着くわけではなく、度々矛盾が生じて頓挫してしまう。その都度、冒頭の何気ない会話や小道具が息を吹き返し、ピタッ!とストーリーに納まってくるのである。

 もっと秀逸なのは、Aだと思われていた事実が、Bという証言によって、Cという事実に変化してしまうというストーリーの妙だ。たとえば、男二人が殴り合っている、と言えば「ケンカ」だと思うが、「リングの上で」という情報が加わることで、ケンカが「ボクシング」に変わる。事実は変わらないのに、見え方を変えたり、情報が付帯するだけで、捉え方が全然変わってくるのである。キサラギではそういうトラップが2重3重と張り巡らされている。あーそういうことだったのかぁ、とスッキリしていくのだ。

 詳しく説明したいのは山々だが、ネタバレになるので触れない。DVDもレンタルされているのでぜひ見て確認して欲しい。唯一言えることは無駄なピースは何も無いということ。だから最初から気を抜かずに観ることをオススメします。

 #エンドロールで流れる5人の一体芸は色んな意味ですごいな。そして流れるPV。たしかに、遅れてきた清純派、だ。

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