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インタビューの進行は、収束するのか?開放するのか?の視点が大事

インタビューの方法論はこの記事を参照いただく、として今回は実際にどのように取材を進めたらいいのか、ということを書いてみます。インタビューは、ライティングの中では最も高度な技術を要求されます。やはり相手があってはじめて成立するものですから、インタビュア(インタビューする人)とインタビューイ(インタビューされる人)のどちらか一方が不完全燃焼だったら良い記事になりません。

●収束型インタビュー

インタビューには2種類あります。ゴールが決められているインタビューと、ゴールではなく過程を語ってもらうインタビューです。

ゴールが決められているインタビューとは、インタビューイに言って欲しい一言があるインタビューを指します。収束型インタビューといってもいいでしょう。たとえば、トレーニングマシンがあって、これについて高名なスポーツ選手にインタビューする場合、「そのトレーニングマシンが有効であることを語ってもらう」ことがミッションとして課せられていれば、それは収束型インタビューです。

「このトレーニングマシンはいいね。愛用してるよ」

選手からこの一言を引き出すために、インタビューを組み立てる必要があります。その思惑を感じ取り、警戒されるとこのテのインタビューは失敗に終わってしまうので、周到に会話を組み立てることが重要です。もちろん、そういうコメントが欲しいんです、と予め取材意図を伝えておくパターンもあります(大抵そういうときは何らかのビジネスや報酬が発生することがほとんどですが)。

収束型インタビューでの最悪のケースは、

インタビュア:このトレーニングマシンいいですよね?

A選手:うん

これだけの会話で「”このトレーニングマシンはいいね”とA選手は語った」と記事を書くことです。語った、というよりも、ほとんど誘導尋問です。捏造と言われても仕方がありません。本人が言ってないのですから。(インタビューイによる記事チェックのときに揉めます)

警戒されないで、うまくその一言を引き出すためには、それなりのテクニックが必要ですが、逆に、向かうべきゴールが決まっている分、インタビューを進めやすい側面もあります。話がどこに向かおうとも、そのゴールに向けて軌道修正できるので、進行しやすいのです。その分、収束型インタビューでは突拍子も無い話題になることは少ないです。話題が逸れそうになったら、軌道修正してしまいますから、仕方がありません。

話題があっち行ったりこっち行ったりしているのに、言わせたい一言はきちんと言わせている、というインタビューがあれば、それはもう非の打ち所がない完璧なインタビューです。ビシッ!と極まればかっこいいのですが、無軌道な話に引っ張られた挙句、最後まで実のあることを言ってもらえなかった、ということも有り得ますので、収束型インタビューはある程度、インタビュアが会話の主導権を握るべきでしょう。

●開放型インタビュー

トレーニングマシンのお墨付きを貰うインタビューではなく、トレーニングマシンの活用法やエピソードを語ってもらうインタビューならば開放型です。徹子の部屋は、開放型です。

過程を語ってもらうことが主目的なため、”言ってもらわなければならない一言”という縛りが無い分、気が楽です。何を聞こうが自由です。インタビューイが語る内容にこそ意味がありますので、とにかく面白い話が聞ければOKです。話が広がれば広がるほど、良いインタビューだった、といえるでしょう。

事前のリサーチが必要不可欠なのが開放型インタビューです。すごく盛り上がって、一杯しゃべってくれたので楽な取材だったなぁ、などと思っていたら、実は他の媒体で同じ話がすでに出ていた、なんてこともよくある話です。むしろ、インタビューイが饒舌に語っている話題は、何回も語られているためにネタとして完成しているのかもしれません。盛り上がれば盛り上がるほど、注意が必要なのです。

あらかじめリサーチしておけば、その話が既出なのかどうなのか判断できると共に、そこからさらに語られていない深い内容を突っ込んで聞くことができます。

開放型インタビューでは、いかに話を膨らませることができるか、が鍵を握りますが、大袈裟なリアクションをとる必要はありません。必要なのは聞く姿勢です。あなたのことをもっと知りたいんだ、という姿勢を見せることが開放型に限らず、インタビュー全般に必要です。

聞く姿勢というのは、とにかく質問すればいい、ということではありません。

インタビューイは質問されれば、そのことについてもちろん答えます。しかしその質問によって、インタビューイは、インタビュアがどれだけ自分のことを知っているのか分かるのです。本当です。

たまに僕がインタビューを受けることがありますが、僕のことをまるで知らない人がインタビューしてくるときがあります。会話して数分で分かります。ネットで検索すれば、僕に関する情報はいくつか出てきます。書いたコラムであったり、受けたインタビューであったり。リサーチする手間すら惜しいんかなぁ、と思いながらインタビューを受けます。

しかし一方で、あーあのコラム読みました面白かったです、なんて言われようものなら、確実にテンションは上がります。聞かれてもないことまでペラペラと喋ります。豚もおだてりゃなんとやら。そんなもんです。インタビューする際には、事前のリサーチをしておくとかなり円滑にインタビューが進みます。ただし、やり過ぎると逆に警戒されるので、ほどほどが肝心です。

●インタビュー術にあらず

今まで記してきたことはインタビュー限定の話ではなく、日常生活においても応用が効く話です。

誰かに会うとき、ただ親交を深めるだけなのか、ビジネスなのか、それによってスタンスは異なります。ビジネスならばもちろんリサーチが必要です。親交を深める場合も、他のブロガーと会うときなどは、もちろんそのブログを読んでおけば話が広がるでしょう。

情報は、情報が集まるところに集まってきます。人も、人が集まってくるところに集まってくるものです。機会があれば、色々な人と接触をもってみるのも、自身のブログの幅を広げる手段となるでしょう。取材系のネタにチャレンジしてみることをオススメします。

ブロガーのための取材テクニック

現在のブログは、批評・分析系ブログと日記系ブログが大半を占めています。一方、あまり存在しないのが、取材系の記事。取材記事は、取材時間はかかるわ、記事をまとめるのにも時間がかかるわ、でなかなか骨が折れるのですが、「取材を通して人脈ができる」「オリジナリティ溢れる記事が書ける」とというメリットがあります。

批評・分析や日記は、外に出なくても書けるのに比べて、取材記事は実際にそこに出かけていかなくてはいけません(メール取材や電話取材というテが無いわけじゃないけど)。人に取材をする場合などは原稿の確認もお願いしなくてはなりませんし、かなり手間がかかります。数が少ないのも仕方がないのですが、だからこそ、独自性が出せるのです。

●インタビューの準備

インタビューする場合、まずインタビューイ(取材対象となる人)にコンタクトをとります。企画意図と企画内容、希望日時と大体の所要時間を伝えます。ブログをやっているならば、もちろんブログのURLを伝え、こういうブログを運営しています、ということを知らせます。このときに、読者層やPVなどブログの媒体データも同時に伝えます。 それで先方の同意を得られれば、取材ということになるのですが、その前にやっておかなくてはいけないことがいくつかあります。

まずインタビューイに対して、あらかじめ質問内容を伝えます。これこれこういうことを伺います、と事前に告知しておくのです。これにより、インタビューイに心の準備をしてもらいます。もしかしたらそれに関連した資料なども用意してくれるかもしれません。心の準備ができていないところに唐突に質問したからといって、深い回答は得られません。

取材は生き物ですからあらかじめ想定していた取材内容から脱線する場合もありますが、これはこれでOKです。こーいうときはインタビューイから生きた言葉がバンバン出ているはずですからきっと面白い取材記事になるでしょう。とはいえ、全然盛り上がらないこともありますので、保険的な意味として、事前に取材内容を伝えておきましょう。

また取材前にやっておかなくてはいけないことは、インタビューイのリサーチです。著者があれば、もちろん全て目を通しておきます。インタビューイに関連するWebサイトも全てチェックしておきます。

これはインタビューイのキャラクターを深く理解しておくという以上に、既知の情報と重複しない情報を引き出すためです。先入観無しにインタビューをしたい!という人もいるでしょうが、せっかくインタビューしたのに、今までに別のところで語っている内容とカブって
しまえば、何の意味もありません。

「(出典を出して)この時点では、××のような意見をお持ちでしたが、現時点でも同じ考えですか?」という質問も、あらかじめリサーチしていればこそできる質問です。ここで、「今はちょっと考えが変わって、、、」みたいな話が引き出せれば、以前のインタビューと差別化が図れて、もう文句無しです。

インタビューの最中で話が途切れることがあったとしても、事前のリサーチによってインタビューイのことを熟知していれば、すぐに他のネタをふることができます。というわけで、事前のリサーチは必ずやっておきましょう。取材のときに話すネタが無くなってあたふたしなくて済みます。

●インタビューの7つ道具

私がインタビューの際に持っていくモノは、

・ボイスレコーダー
・筆記用具
・資料(事前に送っておいた質問項目や、会社概要)
・カメラ(※事前に写真をとってもいいかどうかは確認しておく)
・インタビューイの著書(あれば)

です。7つもありませんでした。

その中でもこれが無いと絶対に困るのは、ボイスレコーダーです。全ての記録が残るという利点はやはり大きいです。どういうことを喋ったかということは大体覚えていますが、細かいニュアンスまでは記憶が曖昧なときがあります。こういうときにはその箇所と前後を聞き込みます。

メモは一応取りますが、ほとんど単語の羅列です。話に出た印象的な単語をぽんぽんと書き連ねていきます。必要があればそれらを矢印で結んだりする程度で、書いたことをそのままメモとして残していきません。メモに集中してしまうと、会話が止まってしまいますし、そもそもボイスレコーダーがあれば、そんな詳細にメモを取る必要はないはずです。ただし、インタビューイが言ったことで、理解できなかったり、疑問に思ったことはちゃんと書きとめておきます。それはタイミングを見て、質問として投げかけます。

またメモの単語の羅列は、記憶を呼び起こす呼び水になります。あとで読み返してこーいう流れだったなぁ、と一目瞭然なのです。ボイスレコーダーがあるから、それを聞けばいいじゃん、思われた方もいるでしょうが、1時間録音した音声をまた1時間聞くのは馬鹿げた話です。

瑣末なことですが、電池の残量は事前に確認しましょう。取材の途中でボイスレコーダーが止まってしまって、青くなった経験があります。あのときはほんと焦った。

●インタビューその後

インタビューが終われば、それを記事にまとめます。対話形式でまとめるのか、インタビューイが語った形にするのか、インタビュアの記事の中にインタビューイのコメントが挿入される形式にするのか、それはケースバイケースです。

対話形式だとライブ感は伝わるものの、話し言葉が多くなり、内容が希薄になりがちとか、インタビューイが語った形だとかなり多くのことを語ってもらわないと文量的に足りなくなったり、といったメリット・デメリットがあります。そして記事にしたら、インタビューイに確認をしてもらい、OKが出れば、それを公開します。もちろん公開したことを伝えることを忘れずに。

2009年8月29日追記:取材記事の有効性について下記記事に詳しく触れられています。下記記事を読んでインタビューにチャレンジしたくなった方は↑の記事も参考にしてみてください。
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