カテゴリー : メディア

「ホースニュース馬」休刊に見る、競馬新聞のあり方

「ホースニュース馬」が休刊(netkeiba.com)

 ホースニュース馬の休刊がオフィシャルサイトでも発表された。競馬関係者の中でもっとも知名度が高い(と思われる)井崎脩五郎が在籍していた競馬新聞で、競馬の神様、故大川慶次郎もかつては在籍していた(僕は知らんかった)という老舗だったが、時代の波ということだろうか。

  中央競馬は大抵、土日に開催されるが、「どんなレースがあって、どんな馬が出走しているか」を知りたい場合、情報入手経路は大きく分けて、2つ。紙媒体とWebである。

  紙媒体は、JRAが発行する「レーシングプログラム」「スポーツ新聞」「競馬新聞」の3つに分けられる。

  価格 情報量
レーシングプログラム ◎(無料) ×(基本的な情報のみ)
スポーツ新聞 ○(110円) △(主要レースは、馬柱(※)も掲載)
競馬新聞 ×(410円) ◎(全レースの馬柱が掲載)

(※馬柱:出走馬の今までの戦績。大抵、直近5レースの出走情報が掲載されている)

 メリット・デメリットを挙げてみたが、メインレースやGIだけを楽しむようなライトなファンはスポーツ新聞で十分だし、1Rからがっつり競馬を楽しみたいってヘビーなファンは競馬新聞を買うというのが、今までの住み分けだった。

 僕も、どっぷりと競馬にハマっていたときには、土日毎に競馬新聞を買い求め(しかも1馬と勝馬の2紙)、週明けには競馬ブックで復習をするというありさまでした。1ヶ月8開催あったとして、競馬新聞400円×2紙×8開催+競馬ブック400×4週分で、計8,000円。 なんか、計算してて嫌になってきたが、月に8,000円を競馬新聞に費やしていたことになる。結構痛い出費だ。

 ところが、僕の場合、Webの登場により競馬新聞の意義はほとんど無くなってしまった。僕はJRDBという競馬データベースサービスを利用しているのだが、月額1,980円で出走馬のデータ、レース情報、結果情報などのデータが入手できる。もちろんこのデータは蓄積していくので、フェブラリーS、過去7年の結果を比較するってこともできるし、出走馬の全戦績なんてのも普通に出てくる。出馬表や出走馬の戦績くらいなら、Yahoo!スポーツの競馬でも十分に見れるし、情報収集の手段としての競馬新聞の存在意義は2000年辺りからほぼ無いに等しかったのである。

 競馬新聞の付加価値として、専門家の予想が見れるというのも有りはするのだが、専門家の予想に乗っかっておけば万事OKみたいなうまい話はあるはずもなく、結局その存在意義の向上には寄与していないと言えるだろう。そもそも競馬の醍醐味が、競馬の予想自体にあるので、予想家の存在意義ってなんだろね?って感じではあるのだが。

 有力馬の動向に関しては、Wikipediaにも記載されている。たとえば、昨年のクラシック戦線で人気を博したフサイチホウオーという馬がいるが、思った以上に活躍せず、アクシデントでもあったのか?と気になっていたのだが、Wikipediaのフサイチホウオーの項目にその不振の理由が書かれてあった。

フサイチホウオー(Wikipedia)

 もちろんWikipediaの情報が全て正しいというわけではないが、競走馬の動向について詳しく解説している競馬新聞サイトはほぼ皆無で、逆に言えば、Wikipediaで提供されている情報以上の情報を新聞紙上やサイトで発信できなかったために、ファンが離れていったことは間違いない。競馬専門紙としての取材力は飾りですか?どこで発表するのですか?

 競馬新聞の馬柱が充実しているといってもたがが知れている。Webという存在がある以上、情報量のアドバンテージは無いに等しい。とすれば、紙面に載りきれない、厩舎関係者の声であったり、追い切りの様子をWebでどんどん出していくべきではないか。たとえば、各レース番号の下に、QRコードが書いてあって、そこにアクセスすると、各馬の追い切り映像が流れたり、厩舎や騎手のコメントが見れたりなんて付加価値があってはじめて、410円という値段に妥当性が生まれるのではないだろうか。

 戦績からは見えてこないアナログな情報をデジタルで見せていく姿勢こそが、今求められていると思う。

「新s(あらたにす)」がどうしても許せない

 日経、朝日、読売の3紙を読み比べることができる「新s(あらたにす)」が今日オープンしました。ここにきての、「news」→「新s」→「あらたにす」、というダジャレネーミングもネタとして美味しくいただきました。(「あらたにす」は、「新しくする」の古語という意味もあるそうですが)

 <meta>タグの設定が甘くて、というか<Description>と<Keywords>の設定が全くなされていなくて、その旧態依然っぷりに憤っているブログもありましたが、僕は別に気にならなかったですよ。

 いわゆる、僕はインターネット業界人だけど、大事なのはコンテンツであって<meta>タグは刺身のつまにしか過ぎませんから。刺身はつま無しでも成立しますが、つまは単体では成立しません。刺身が美味しければつまが無かったことなど帳消しになってしまいます。使うのは、あくまでもネットユーザーであり、検索エンジンではないので、<meta>タグがダメダメだろうが、中身がしっかりしていれば別に問題は無いと思います。

 じゃあ中身がしっかりしているのか、といえばもうこれは論外。3紙を読み比べる、というコンセプトの意味が分からない。3紙並べられたところで、そこに何のバリューが発生すると思っているのでしょうか。 新聞業界的には斬新な試みなんでしょうけど、色んなサイトで既存メディアの論調・主義主張の比較検証なんて今までさんざんやられてきているわけです。

 ま、いいや、僕がWebライターとして「あらたにす」を許せないのは、最高に読みにくいところ。 実際に僕がモニターで見ている画面が下記の画像です。このブログの横幅に納まらなかったので、左の方はカットしていますが、リサイズはしていません。



 サイトも右上に文字サイズを3段階に変更できるのですが、これで最大です。Webでの文字組みとしては最悪の部類で、いかにも、紙面をそのままWebにあげました、という態です。

 モニターは紙に比べて目に負担がかかるので、文字の大きさや間隔に気をつけなければいけません。また数行おきに空行を挟むというのももはや常識と言っていい。 ちなみに全体像が下記の画像。(元画像の40%に縮小しています)



 なんですか?この読みにくさは!

 Webで3紙の読み比べができるというのであれば、新聞のルールを持ち込むのではなく、あくまでもWebを意識した構成にすべきではないでしょうか。この椅子にふんぞりかえっている人達は、「新聞業界も変わろうとしているんですよ。読者に歩み寄っているんですよ」というポーズをつけたいだけで本当に読者のためを考えているとは到底思えない。それくらいこの読みにくさは異常。

1日当たりの想定ページビュー(PV)は400万。運営費用は年間数億円を想定しており、広告収入でまかなう計画だ。「新聞サイトに比べるとPVは少ないが、ページ滞在時間が長くなるとみている。滞在時間を指標に媒体価値を評価してもらえるようにし、3年目に収支トントンに持っていきたい」 

 ITmediaの記事ではこのように関係者が語ったようだが、滞在時間を狙っていくのであれば、こんな視認性の低いサイトではダメだろう。特に中高年から上の世代を狙っているのならなおさらこの読みにくさは致命的。 

 紙とWebの区別がつかないのならば、
 ユーザー視点に立ってサービスを提供することができないのならば、
 紙だけやっていればいいのに。

#この取材の模様の動画も公開されているけど、Webを意識するならここはやっぱりYouTubeを使うでしょう。そんなに読者との接点を持ちたくないんですかね。その感覚の古さに愕然とします。
 まぁ、そもそもRSS配信していないニュースサイトって存在意義すらないと思っているけどね。